カツレツのつくりかた |
1:材料の準備(肉に塩胡椒をふりかけたところ) |
(写真は5人分の材料です。右側の肉は豚肉、左側の白い切り身は鮫肉です) 材料(一人分)豚 :百グラム(または鮫、牛肉)小麦粉:十グラム パン粉:二十グラム 食塩 :少量 胡椒 :少量 卵 :四グラム ラード:二十グラム ソース:二十ミリリットル 付け合わせ材料 玉菜(キャベツ)または白菜(または粉吹き馬鈴薯):二百グラム ソース:十五ミリリットル 準備1:豚肉(または鮫、牛肉)は厚み一センチ位、一人一切れずつの大切りとして、これに食塩、胡椒を振りかけておく。 2:卵は割って同量の水を加えて、よくまぜておく。 |
2:肉に小麦粉をまぶす |
先ず、肉は小麦粉をよくまぶします。隅々までまぶしたら、 最後に一寸手ではたいて余分な粉を落してやります。 |
3:卵水にひたす |
肉に粉をまぶし終ったら、続いてむらなく卵水に浸します。 |
4:バン粉をまぶす |
次にパン粉をよくまぶしてから、両手で圧えてしっかりと付けてから、十分間ねかせておく。 |
5:揚げる(1) |
フライパンにラードを入れ、 煙がでそうなくらい温度が上がった頃に 肉を入れ、火の通るまで揚げる。 ※注:あまりに高温過ぎると衣が焦げます。 |
6:揚げる(2) |
火が通ったら、肉を上げ 紙(キッチンペーパー)を敷いた皿やバットの上に置き油を落す。 ※注:肉に火が通ったかを確かめるには、 菜箸で肉を刺すといいでしょう。 穴から肉汁が染み出た場合、まだ火が通っていません。 また、菜箸がすっと突き通るなら、もう火が通っています。 なお、火から上げても油の余熱がありますから、 それも考慮した上で揚げてみてください。 |
7:豚カツの完成 |
(写真の皿は、大戦末期に陸軍で使用されたものです) ※注:硬い肉を使うときは、よく筋を取り、庖丁の背でたたいたあと、肉の周囲に庖刀目をいれておきます。 備考兵隊屋敷(兵営)の食事は不味く、ろくなものを食べさせられないところという印象がありましょうが、 実は、昭和初期の平和な時代までは、 むしろ一般家庭よりも良かったといわれております。 当時、徴兵で各聯隊に入営する兵の多くが、貧しい農民の子弟でした。 そうした兵隊達にとって、カツレツなどの洋風の揚げ物は、 地方(軍隊用語で、軍隊の外、つまり世間を指します)では 余り口にすることのできない、珍しく、 かつ大変贅沢な食べ物と感じられたようです。 作家の棟田博氏(昭和初年に岡山の歩兵第十聯隊に入営)は、 現役兵時代に、兵営でトンカツやコロッケを食べたある初年兵(新兵)が、 同年兵に、「こんなうまいものは、うちの者は口にすることがない、 わしだけこうして食べるのが辛い」と漏らしていたことを記しております (棟田博『陸軍いちぜんめし物語』p21、平成4年12月、光人社) |
8鮫カツの完成 |
備考2:さて、作り方は現在各家庭で行われているものと、大差ないと思いますので、特に何も申し上げません。 食生活が贅沢になった現在においても、 カツレツはやはり、美味しい料理の代表格ですから。 ただ、今回は鮫カツも試してみました。 理由は、我が家の近くのスーパーで、珍しく鮫が売っていたからです。 味のほうは…よく云われる臭味もないかわり、味もありません。 マグロなどよりも軟らかく、歯ごたえがありませんでした。 カツレツにするためには、塩、胡椒などの下味を、 一寸きつめにしてやると良いでしょう。 また、『軍隊調理法』のレシピから離れますが、鮫肉にチーズを挟み込む、 ないしはチーズでくるんでやると良いとおもわれます。 もともと味のない魚ですから、逆にいえばいろいろな味付けが出来るということです。 鮫のカツレツは、下味を濃くする必要がありますが、 けれど、その軟らかさは、むしろ小さな御子様方には、 非常に良いのではないかと思います。 (調理・文責、中山郁、協力、中山恵美子) |